コラム
家にあるピアノの手入れをしたくても、正しい方法でないと傷めてしまいそうで心配に感じる方もいらっしゃるかと思います。ピアノは外装面のほかに、鍵盤や弦などの手入れが必要です。日ごろから手入れをおこなうことで、何年も変わらず使用することができるでしょう。
しかし、ピアノは“生き物”と表現がされることがあるほど繊細な楽器のため、正しいお手入れ方法や、保管する環境が寿命に大きくかかわってくるのです。本コラムでは自分でできるピアノの部位ごとのお手入れ方法について紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
大切なピアノを長く使用するためには、ピアノの手入れがとても重要です。ピアノは細かく繊細な構造をしているため、手入れを怠ってしまうと鍵盤や外装にホコリなどが溜まり、不具合の原因となります。
また、手入れで使用する道具にも注意が必要です。適切な道具で手入れをすることが、ピアノを長持ちさせる大切なポイントとなります。下記でご紹介する道具を使って、正しく手入れを進めていきましょう。
ピアノの鍵盤や外装を拭く際には、ピアノ専用のクロスが最適です。クロスの種類については、ネル生地と呼ばれる綿で作られたクロスがよいとされています。
触り心地はふわふわして吸水性がよく、ミクロ単位で汚れを拭き取ることが可能です。使用後は洗濯をすることで何度も利用できる利点があります。
ピアノに付着している小さなホコリを絡めとるのに使用する道具です。最近はあまり目にしなくなった毛ばたきですが、洗車後ワックスをかける際にホコリやチリを拭き取るのに使用されます。
毛ばたきに使用される素材は、オーストリッチ製(ダチョウ)とガルス製(ニワトリ)の2種類が多いです。市販で売られている毛ばたきではピアノに適していない薬剤を含んでいる恐れがありますので、ピアノ専用の毛ばたきを選びましょう。
鍵盤についている汚れを拭き取るための専用クリーナーです。鍵盤は指で触るほかに、隙間に汚れやホコリが溜まりやすいため、こまめに掃除をしましょう。
しかし、鍵盤の素材によってはクリーナーが使用できない場合もあるので、使用する前は一度楽器店などに相談するようにしましょう。
タオルはクロスと同じく、ピアノの鍵盤や外装面を拭き取るために使用します。拭き取る際に傷をつけないように、なるべく柔らかい素材を利用するのがおすすめです。
ピアノの外装面は、鍵盤とは違い常に空気に触れている部分が多いため、ホコリやチリなどの汚れが付着しやすくなっています。ですから、こまめに手入れをすることが大事です。正しい手入れの方法を身につけて、ピアノをきれいに保ちましょう。
ピアノの表面についているホコリは、ピアノ専用の毛ばたきを使用します。もしくは固く絞ったタオルや布で拭き取るようにしましょう。
乾いた生地で拭き取ってしまうと、表面に傷をつけてしまう恐れがあるので、濡らしたタオルや布でおこなうのが大切です。
外装面にちょっとした汚れを見つけた際には、ピアノ専用のクロスで拭き取ります。しかし、汚れがひどい場合は、薄めた中性洗剤を布にしみ込ませて拭くようにしましょう。強く擦ってしまうと傷がつく可能性があるので、優しく拭き取ります。
ピアノの表面に艶(ツヤ)を出す際には、ピアノ専用のワックスがおすすめです。使用方法はクロスや布にワックスをしみ込ませ、優しく拭きのばします。その次に柔らかなクロスで乾拭きをして完成です。
艶出しをおこなうワックスは、正しく使うことでピアノをきれいにすることができます。ですが、間違った方法で使用するとピアノを傷つけ、シミを作る原因になるので、使い方がわからない場合は楽器店や調律師に確認をするようにしましょう。
構造にしても演奏をする際に触れる場所にしても、鍵盤はピアノのなかでとくに汚れやすい場所となっています。
ホコリなどの汚れのみでなく、素手でも触れることが多いためより細かく手入れをおこなうことが必要です。複雑な構造なのに加え汚れやすい鍵盤の「お手入れ方法」について、みていきましょう。
鍵盤は白鍵と黒鍵の2種類によって構成されています。鍵盤を手入れする際は、柔らかい布で乾拭きするようにしましょう。乾拭きをするときは白鍵のみでなく、黒鍵の側面も拭き取ります。
乾拭きをしても汚れが目立つ際は、柔らかい布に水を吸わせ固く絞ったもので拭いたのちに乾拭きをしましょう。
もし手入れをしても白鍵の汚れが目立つ場合には、鍵盤専用のクリーナーを使います。ただしピアノの種類によっては、白鍵の上面に象牙や人口的に作られた象牙が使用されているので、自分で判断することが難しい場合は楽器店に相談をしてください。
鍵盤はクリーナーを使用することで汚れを落とすことが可能です。しかし黒鍵に付着しないよう気をつけましょう。クリーナー使用後は拭き残しがないようしっかり乾拭きをします。ピアノを長く使用するには、外装面のほかに鍵盤も手入れをすることが大切です。
ピアノは木材や動物の皮などで構成されています。こまめに手入れを施すことで、長く使用することが可能です。しかしピアノはとても繊細な楽器といわれています。なので、手入れを怠ることで汚れが染み付き、ピアノを保管する環境によっては劣化を進めてしまいます。
ピアノは使用するとき以外は、汚れなどが付着するのを防ぐために屋根や蓋が閉じています。しかし常に閉じたままですと、空気が循環しないことから虫が寄ってくる可能性があります。
定期的にあけて換気をするようにしましょう。雨の日ではなく、天気のよい日におこなうのがおすすめです。
ピアノはおもに木材によって作られています。急激に温度や湿度が変化することで、調律がずれてしまうため、冷房や暖房の効いた室内での保管は注意が必要です。ピアノにとっての適温は15℃~25℃、湿度は50~70%とされています。
ピアノの鍵盤は88本です。しかしすべての鍵盤を使用して演奏をする機会はあまりないかと思います。鍵盤は使用していないと、いざ演奏しようとした際に音が乱れてしまう場合があります。鍵盤での音の不調を出さないために、ときどき触って音を出すようにしましょう。
ピアノの外装面は汚れが付着しやすいです。ピアノの蓋や鍵盤などに触れる際には、一度手をきれいに洗ってから使用するようにしましょう。使用後はピアノをきれいに、そして長く使用するためにクロスなどで簡単に拭き取ることが大切です。
ピアノは楽器のなかでも高価なものになります。日ごろから手入れをおこなうことで、きれいな音や見た目を維持することができるのです。ピアノの鍵盤につながっている弦は、1本あたり平均90キロという強い力が加わっているといわれています。
長年使用することで次第に弦はのびていき、音程が乱れてくることもあるのです。毎日の手入れ以外にも、年に1度は調律をおこなうことをおすすめします。ピアノの調律に関するご相談はお気軽にご連絡ください。
ピアノは楽器のなかでも高価なもののため、間違った手入れでピアノを傷めてしまうことを恐れて、手入れをしない方もいるかと思います。ピアノは日ごろから手入れをすることで、外装や鍵盤をきれいに保つほかに寿命をのばすことも可能です。
しかし、何年も使用している場合や、長い期間放置することで調律が乱れている場合があります。その際には、業者に依頼することがおすすめです。ピアノは繊細な楽器ですので、保管をする環境にも気をつけましょう。